ずっと行きたかった柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」に、やっと…やっとの事で行って来ました!
休日(土曜日)だったので夫の協力もあり、1歳になった娘と一緒に3人で行きました。今回はそのレポートをしていきます。
我が家から東京国立近代美術館までは車で40分ほどあり、娘にとっては少しの長旅です。10時の会館に合わせて9時にお家を出発しました。
北の丸公園の駐車場に車を停めて、社内でおやつタイム。娘はバナナをパクパク食べました^^
因みに駐車場代は1時間毎400円/最大2000円でした。(さすが都内。少しお高めですね…)
展示が見やすい様にと、夫が抱っこ係を買って出てくれました。腹ごしらえしてご機嫌な娘を抱っこ紐に入れ、いざ出発です!
駐車場から歩いて5分ほど、少し坂道を下るとすぐに美術館はあります。
入り口の巨大看板の前で、まずは記念撮影をパチリ。
開館を待って並んでいた方々が10人ほどいましたが、私達が着いた頃に丁度開館したのですぐに列はなくなりました。
チケット売り場は野外(屋根はある)にあります。窓口が3つもあり、全く並ばずに当日券を購入する事ができました。
一般券は一人1,800円でしたが、JAF会員の割引が使えたので1人100円引きとなりました。中学生以下は無料です。
オンラインチケットもあるので、確実に来られる方はオンラインで事前に購入するのが良いかもしれません。
入り口でアルコール消毒と検温をして入場します。建物に入って右側に無料のロッカー(100円返却式)とお手洗いがあります。
まずは多目的トイレのオムツ台で、娘のオムツ交換をします。
ベビーカー(3台ほど)や車イス(10台ほど)の貸し出しもありました。娘が眠くなりそうだったので抱っこ紐のまま入場です。
展示風景はこんな感じで、陶器などがズラリと並んでいます。
出典:東京国立近代美術館公式ホームページより
「民藝」を知らない方は何ぞや? といった感じですが、少しこの企画展について説明させてください。民衆が日常使いする為に、名もなき職人達が作った生活道具に美を見出す「民藝運動」というムーブメントが、およそ100年前に起きました。その運動の中心人物が今回の展示の主人公、思想家の柳宗悦です。民藝とは民衆的工芸の略語で、柳たちがつくった言葉です。詳しくは過去に日本民藝館の記事を書いたのでよろしければご覧くださいませ。
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民藝と言っても日本の物だけではありません。柳宗悦が陶芸家の濱田庄司と欧米旅行で買い付けた19世紀イギリスのイスも展示されています。
出典:東京国立近代美術館公式ホームページより
民藝の技法として特徴的なのが「スリップウェア」です。スポイトなどて釉薬を垂らして模様を描いています。まるで、お好み焼きのマヨネーズを連想する様な技法ですよね。元々はイギリスで誕生したこの技法を民藝運動の主要メンバーであるバーナード・リーチが日本に広めています。島根県の湯町窯や、最近だと益子焼の伊藤丈浩さんがとっても細かいスリップウェアの模様で有名です。写真は18世紀後半イギリスの皿。勢いよく描かれたニワトリから、コケコッコ〜と声が聞こえてきそうです。
出典:東京国立近代美術館公式ホームページより
基本的に撮影禁止の館内で、突如フォトスポットが現れました。日本民藝館の向かいにある柳宗悦邸の書斎を再現しています。棚には柳自身が手掛けた本の装丁が置かれています。小さくて見づらいですが右の棚の上から三番目、紺色の「美と模様」という本の装丁が自信作のようです^^
柳は掛け軸も自分でデザインしました。作品である絵の色味に合わせて表装や陶軸を組み合わせていました。濱田庄司や島岡達三が作った陶軸が、これまた可愛らしい風合いなのです。ぜひ実物を見てほしいです。
出典:東京国立近代美術館公式ホームページより
鳥取県の民藝といえば、黒と緑色のデザインで有名な牛ノ戸窯が思い浮かびます。鳥取県には日本初の民藝店「たくみ工芸店」があります。民藝の器で地元の食材を使った郷土料理が食べられる「たくみ割烹店」もあり、いずれも医師であり“鳥取民藝の父”と呼ばれる吉田璋也のプロデュースによるお店です。私もいつか訪れたい場所です♪
出典:東京国立近代美術館公式ホームページより
広い展示スペースの壁一面に、大きな地図がありました。全長13mほどの「日本民藝地図」は、柳宗悦と染色家の芹沢銈介が手掛けた全国の民藝をまとめたものです。
出典:柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」特設ホームページより
地図の前には各地の民芸品が並んでいます。山形県の羽広鉄瓶は展覧会のチラシやポスターにも採用されています。どっしりとした存在感ですが曲線が美しく、尚且つ持ち手が太くて使いやすそうなデザインです。
「日本民藝地図」には載っていなかった北海道ですが、ちゃんとアイヌの民藝も展示されていました。内地から渡った古着にアイヌ独特の模様の刺繍を施した木綿切伏衣装や、細かく模様の彫られた小刀などがありました。柳にとってアイヌの民藝は特殊な位置づけをしていた様です。1941年には「アイヌ工藝文化展」を開いています。日本におけるアイヌの複雑な歴史と立場を、アイヌの民藝の魅力を見せると同時に人々に再認識して欲しかったのではないでしょうか。
出典:東京国立近代美術館公式ホームページより
このあたりで、遠くから娘の泣き声が聞こてきました。夫は気を使って、グズる娘を抱っこしながら私や来館者の観覧の邪魔にならない様に展示の先へ進んでいたのです!
急ぎ足で残りの展示を見ながら1階出口の方へ進むと、眠くてギャン泣きする娘を夫があやしていました^^;(汗)
夫には美術館の外で娘が寝るまで待ってもらい、再入場してもらいました。その間に私は2階にある展示の続きを観覧しました。夫よ、ありがとう。本当に感謝しています。
その外にも、民藝運動の出版活動に欠かせない雑誌「工藝」の素晴らしい装丁の数々や、芹沢銈介のデザインした、すき焼き・しゃぶしゃぶ牛肉専門店「ざくろ」のお品書きは美しくて心を奪われました。
出典:柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」特設ホームページより
「民藝館の全ての蔵品をこの一個に換えても良い」とまで柳宗悦に言わせた「岩偶(岩手県岩泉町袰綿〈ほろわた〉出土)」も展示してありました。実物は意外と大きくて驚きました。
眠った娘を抱えた夫と合流し、展示を見終えた我々はギャラリーショップへたどり着きました。そこで購入したものがコチラです。
芹沢銈介デザインのハンカチ(税込880円)と、民藝100年展のマスキングテープ(税込440円)です。図録(税込2,600円)は一足先に展示を見た友人がお土産としてプレゼントしてくれたものです。友よ、ありがとう。本当に素晴らしい図録で、宝物になりました。駆け足で通り過ぎた作品も見直せて、とてもありがたかったです。上映していた映像資料もゆっくり見られなかったので、どんな映像だったか分かって良かったです。図録は見ごたえ&読みごたえがあるので、展示に行けない方も購入していいんじゃないかなと思いました。オンラインで購入出来ます。
因みに本日のMVPである夫が、ギャラリーショップで購入したのがコチラの本です。
我が家も手作り味噌を作り始めて2年目となりました。家庭菜園は4年目を迎えます。野菜を作るうちに土の中の微生物やカビたちと仲良くなったのか、夫がおもむろに手に取ったこの本。少し読んでみたら、とっても面白そうでした。ギャラリーショップには色んな物が売っているので、のぞいてみると面白いです♪
民藝の100年 特設ページでは女優でモデルの菊池亜希子さんが鳥取を巡る旅の記事や、菊池さんの可愛らしいイラストで見る展覧会の楽しみ方が載っています。旅の動画は、「いろ★ドリ+」のサイトから見られます。(2022年1月末現在)
出典:柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」特設ホームページより
美術館を後にした我々は竹橋駅方面に向かい、パレスサイドビルのご飯屋さんでカレーを食べて帰りました。このビルには沢山のレストランやカフェが入っているので、美術館帰りにランチやお茶をするのにピッタリだと思います。
さて、今回は東京近代美術館で開催中の民藝の100年展に、1歳の娘と夫の3人でお出かけした様子をまとめてみました。
正味40分程度の滞在でざっくりと企画展を回りました。ベビーカーやオムツ台もあり、赤ちゃん連れでも行ける事が分かりました。ただ、娘のグズるタイミングに当たってしまった為、館内に泣き声が響くことになりましたが…夫の協力もあり無事に観覧を終えました。
本来ならば日本各地に行かないと出会えない民藝品の数々ですが、こんな風に一堂に会する事は滅多に無いと思います。美術館という少し格式の高い場所で見る民藝も、美術的価値を見出す上ではとても良い機会でした。その反面、素朴な民藝館の空間で見る民藝が、私は好きなんだなとも実感しました。
今まで行きたい場所に、行きたい時に自由に行けた事が、贅沢で貴重な時間だったんだなと感じます。このコロナ禍を過ごしている今(育児をしているとなおさら…)一段と民藝館が恋しくなりました^^
最後までお読みくださり、ありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。