エッセイ 民藝

郷土玩具の本 オススメ3冊

先日、図書館で借りた“だるま”や“こけし”が登場する絵本を読みました。それ以来“郷土玩具”が気になり始めた今日この頃。またしても図書館で素敵な本を見つけたのでご紹介します。この本を読んだら郷土玩具の沼にハマりそうです^^笑

 

『てのひらのえんぎもの 日本の郷土玩具』佐々木一澄著

この本は日本全国の郷土玩具を、著者のイラストで紹介しています。
写真とは違った魅力があり、玩具それぞれの特徴をとらえています。その可愛らしい絵、一つひとつに著者の魂が込められた本なのです!

だるまや、雛人形、こけしなどそれぞれの玩具の成り立ちも分かりやすく書かれています。こけしの顔のイラストが産地別に並んだページは、すごいインパクトです! それぞれの表情を比較出来て、とても興味深いです。産地での取材もしており、玩具の作り方や職人さんのヒストリーがまとめられています。

鳴子こけしを製造する高橋正吾さんの工房では、どうして今のこけしの表情に至ったかをお話しされています。残念ながら高橋正吾さんが2020年にお亡くなりになられた事を知り、しみじみこの章を読み返しました。これは私自身がいろんな窯元へ訪問して思う事でもありますが、職人さんには会いたい時に会いに行かないといけないなと改めて痛感しました。その他にも浜松張子の鈴木伸江さんや、京都にある伏見人形「丹嘉(たんか)」の大西時夫さんにも取材をしています。どのインタビューからも、職人さんに対する著者の愛が滲み出ています。

「郷土玩具の誕生と現在」という章では、幾度となく訪れるピンチを乗り越えて、何度も復活する郷土玩具の話が書かれています。作り手の高齢化、後継者不足のなか手仕事の魅力を見直し伝統を守ろうとする現代に至るまでの郷土玩具の歴史を知ることが出来ます。

技術の伝承だけでなく、心の伝承がなければ、それはただのイミテーションでしかありません。それは郷土玩具の核のようなものがごっそりと抜け落ちた、空っぽの玩具でしかないのではと僕は感じています。

二見書房『てのひらのえんぎもの』郷土玩具の誕生と現在から引用

この言葉には、とっても共感しました。「民藝運動の父」と呼ばれる柳宗悦が提唱した“民藝”の特性にある、「伝統性(伝統という先人たちの技や知識の積み重ねによって守られている。)」や「他力性(個人の力というより、風土や自然の恵み、そして伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられているものである。)」に通じるものを感じました。郷土玩具そのものは可愛いし美しい物だけれども、それが出来た背景や成り立ちを知ることで理解が深まると、さらに愛着が沸くものです。郷土玩具は「日本人の心のふるさと」だからこそ残り続け、手に取る人を懐かしいような心が温まるような気持ちにさせるのではないでしょうか。

魅力溢れる郷土玩具に対する、著者の情熱が伝わって来る一冊です! パラパラと絵を見るだけでもオススメです♪

 

『郷土玩具ざんまい』瀬川信太郎著

郷土玩具の実物の写真が見たいという方には、こちらの本もオススメです。福岡県にある郷土玩具店「山響屋」の店主がこだわりの郷土玩具を紹介しています。職人さんが作る伝統的な玩具や、個人作家さんの斬新な玩具を面白い文章と共に紹介されています。

 

『厄除け郷土玩具』中村浩訳著

この本は、コロナの流行真っ最中の2020年11月に発行されました。全国に約200名の会員を持つ「日本郷土玩具の会」会長が執筆しています。日本各地の厄除けの郷土玩具が、その歴史や成り立ち、著者の思い出と共に語られています。

この本を読むと、天然痘やコレラなどの感染症や、子どもの夜泣き&かんしゃくを、いかに昔の人が大敵にしていたかが伝わります。コロナが流行する現在、子育て中の身としては同じ悩みを抱えているので、人間の根本的な悩みは、いつの時代も変わらないんだなと感じました。「厄除け」という面白い視点で郷土玩具が紹介された一冊です。

 

今回は郷土玩具の本を3冊ご紹介しました。同じような本を借りたつもりでしたが、読んでみたら全然違う内容で驚きました。それぞれ郷土玩具入門書として読みやすい本なので、少しでも興味があれば手に取ってみて欲しいです♪

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