先日、図書館で面白そうな民藝の本を見つけたのでご紹介します♪
民藝とは?
1926(大正15)年、思想家の柳宗悦とその仲間たちによって「民藝運動」と呼ばれるアートムーブメントが起こりました。彼らは名も無き職人が生み出す日常の生活道具を「民藝(民衆的工芸)」と名付け、民衆の暮らしから生まれた手仕事の文化を守り育てることが、豊かさだと主張しました。
さらに民藝について詳しく知りたい方は、日本民藝協会のウェブサイトへ
旅好きにオススメ! 行ってみたくなる民藝のガイドブック
1冊目は萩原健太郎著『にっぽんの美しい民藝』。民藝の初心者にも分かりやすく書かれた本です。
民藝にまつわるスポットや人物を、地域別に紹介しています。旅好きじゃなくても(旅好きならなおさら)この本に紹介された場所へ行ってみたくなる事間違いナシです!
民藝運動や主要メンバーを分かりやすく説明しているので、この本を読めば民藝の事が丸分かりです♪
著者は文筆家で、日本文藝家協会会員の萩原健太郎氏です。大阪府で1972年に生まれた萩原さんはアクタス勤務、デンマーク留学などを経て独立。著書に『北欧の絶景を旅する アイスランド』『ストーリーのある50の名作椅子案内』『北欧とコーヒー』『北欧の日用品』『北欧デザインの巨人たち』などがあり、北欧に関する本を数多く執筆されています。民藝好きなら一度は目にした事があるであろう「民藝の教科書」シリーズの著者でもあります。
この本は、「手仕事フォーラム」発起人の久野恵一さんが監修として携わっています。
「手仕事フォーラム」とは、手仕事に携わる人や関心のある人を集め、手仕事を守り育てる活動をしています。手仕事の品をとり入れた生活の素晴らしさを、社会の人々に知ってもらう為の発信もしています。展示会やイベントも定期的に開催しています。詳しくは手仕事フォーラムの公式ホームページをご覧くださいませ。
私が初めて「民藝」と出会ったのは、2010年に日本民藝館を訪れたときでした。それから民藝について色々と調べる様になって、手仕事フォーラムの存在を知りました。2014年には三鷹のCaparisonというギャラリーで久野さんと倉敷緞通(くらしきだんつう)の職人、瀧山さんの対談を聞くイベントにも参加しました。
いつしか久野さんが発信する情報やお話は、民藝を探求するライフワークの指針となっていました。2015年の春、Facebookで久野さんの訃報を知ったときは衝撃的でした。もっとお話を聞きたかったし、民藝の旅の行き先を今後どうやって探せばいいのか…とても、とてもショックでした。このことがきっかけで、「会いたい人には会いたい時に会いに行こう」という思いがより一層強まりました。さて、長々と脱線してしまいました…^ ^
この『にっぽんの美しい民藝』という本を入門に、興味があれば民藝の教科書シリーズも読まれる事をオススメします♪ 因みに私が民藝に出会った場所でもある「日本民藝館」の紹介記事はコチラをご覧くださいませ。
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はじめての日本民藝館入門
民藝館が大好きで、これまで日本各地の民藝館を訪ねてきました。 そんな私が民藝館にハマったきっかけでもある、日本民藝館をご紹介します! 民藝館ってどんなところ? 1926(大正15)年、思 ...
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雑貨好きにはコレ! 買いたくなる手仕事カタログ
二冊目は『暮らしの図鑑』シリーズから『民藝と手仕事 長く使いたい暮らしの道具と郷土玩具61×基礎知識×楽しむ旅』です。監修には、松野屋 松野弘さん、コハルアン はるやまひろたかさん、くらしの知恵と道具 jokogumo 小池梨江さん、山響屋 瀬川信太郎さん、器の店 Yuyujinさん、Nowvillage 今村香織さん、北土舎さんが参加されています。
監修されているお店の方々がおススメする61のアイテムを、勝山八千代さんの可愛いイラストと共にご紹介しています。
出典:翔泳社ホームページより
民藝の器をはじめ、かごやザル、箒や郷土玩具など様々な手仕事を知る事が出来ます。見ているとつい欲しくなってきます^ ^
出典:翔泳社ホームページより
この写真を撮影されたのは、コハルアンのはるやまさんです。コハルアンは神楽坂の住宅街にひっそりと佇む、器や手仕事の品々を取り扱うお店です。私も飯田橋に勤務していた頃、神楽坂にあるコハルアン(あの頃は「神楽坂 暮らす。」という店名でした)とjokogumoには何度か訪れ、器や雑貨を購入しています。特にコハルアンで購入した緑色の益子のカレー皿は今もうちの食卓の常連ですし、はるやまさんが有田焼の大日窯に依頼して作ったマリン柄のお茶碗も実家の両親が大切に使っています。コハルアンで手に入れたNowvillageのフリーペーパーはとても可愛くて、今ではネットから注文しています。(vol.5とvol.6が手元にないのが悔やまれます…!)
出典:Nowvillageオンラインショップより
私もファンのお店が紹介する手仕事がたくさん詰まった一冊になっています。
「全国の手仕事を楽しむ旅」という章では、各店主さんたちがおススメする旅のスポットが紹介されています。こちらもまた、民藝の旅の参考になりそうです♪
読めば、あなたも鳥取ファン! イラストレーター安西水丸氏が送るディープな鳥取ガイド
三冊目は『鳥取が好きだ。水丸の鳥取民芸案内』です。村上春樹さんの本の挿絵などで知られる有名イラストレーターの安西水丸氏が、生前に遺した未発表エッセイです。安西さんが所有する鳥取の民藝品の紹介とそのエピソードや、作り手の紹介などがされています。
とてもシンプルな表紙とタイトルですよね。実際に読んでみても、安西さんの鳥取愛をひたすら感じることの出来る本でした。何とも言えない味のある素朴なイラストが民藝にマッチしています。
私が安西水丸さんを認識したのは、2016年に開催された「村上春樹とイラストレーター」展を観覧したときでした。
子どもの頃好きだった絵本の作者、佐々木マキさんの絵を見たくて訪れた練馬区のちひろ美術館。面白い絵だなと思ったのは、安西水丸さんと和田誠さんの共作でした。まさかこの時は、安西さんがこんなに鳥取の民藝が好きだったなんて知りもしませんでした。
私は民藝好きな人のエピソードを聞くのが大好きです。民藝とどんな風に出会って惹かれていったのか、その人と民藝との関わり方を知ると更に民藝に愛着が沸いてくるのです。この『鳥取が好きだ。』という清々しいタイトルの本を読むと、民藝を好きでいる自分がなんだか誇らしく感じられます。安西さんの民藝との出会いと、鳥取の地をどれだけ好きだったかを知る事が出来ます。エッセイなので読みやすいけど、しっかり読み応えもある一冊です。
さて、今回はおススメの民藝の本を3冊ご紹介しました。お近くの書店や図書館で見かけたら、ぜひお手に取って見て欲しいです♪ また面白い本を見つけたら共有しようと思います。