民藝

祝!生誕100年、柚木沙弥郎を改めて読む。

染色家・柚木沙弥郎さんをご存知でしょうか?

染色だけでなくグラフィックデザインや絵本など精力的に活動を続けられている柚木氏ですが、なんと御年99歳。今年10月7日には100歳になられます‼

それを記念して2023年1月13日(金)~4月2日(日)まで、日本民藝館では「生誕100年 柚木沙弥郎展」が開催される予定です。

因みに私が柚木沙弥郎を初めて知ったのも、日本民藝館で2018年に開かれた特別展「柚木沙弥郎の染色 もようと色彩」を見に行ったのがきっかけでした。今まで日本民藝館で存命作家の個展が開かれたのは、バーナード・リーチ、河井寛次郎、濱田庄司、棟方志功の4人だけ。このレジェンド達に名を連ねてしまう柚木沙弥郎のすごさ。更に、これまでで最多の観客動員数を記録したというのだから驚きです!

今回は生誕100年を記念して、今一度柚木沙弥郎を知ろうと思い、柚木氏の本をご紹介しようと思います♪

 

柚木沙弥郎のことば/柚木沙弥郎・熱田千鶴著

1946年、倉敷の大原美術館に勤務した際に民藝運動を知った柚木沙弥郎は、柳宗悦の思想と芹沢銈介の作品に啓発され染色家となりました。

それから静岡の藍染工房で修行したり女子美術大学で講師をしたり…今に至るまでの歴史や人となりを、長年柚木氏の取材をしてきた編集者の熱田千鶴さんが分かりやすくまとめています。

それからこの本には柚木さんのたくさんの素敵な言葉が詰まっています。

いつからだって、どんな対象だっていいんだよ。僕だって物心ついたのは80歳になってからなんだから
『柚木沙弥郎のことば』アートより引用

身近な友人に語りかける様な優しい言葉の数々がとても身に沁みます。

柚木沙弥郎の考え方を知るにはピッタリの本です。私たちが生きる上で、考え方のヒントをくれる様な一冊です^^

 

柚木沙弥郎92年分の色とかたち /柚木沙弥郎著

たくさんのカラー写真で柚木さんの作品が見られる、画集に近い本です。作品だけでなく、収集した玩具や土産物など柚木さんの視点で集められたものが雑多に置かれた部屋の様子なども見られます^^

また、柚木氏ゆかりの地である松本の老舗菓子屋「開運堂」のグラフィックデザインや、惜しくも閉店してしまったとんかつとカレーの店「たくま」のマッチ箱やメニューのデザインなども紹介されています。

盛岡にある光原社は宮沢賢治の『注文の多い料理店』を出版し、のちに民藝店となり民藝運動家や一流作家と交流を結んできた場所です。そこにも柚木氏の痕跡があり、手掛けた看板などが紹介されています。

この本で注目したいのは、柚木さんを長年支えてきた染物職人の中込理晴(なかごめりはる)さんの存在です。この方、16歳の頃から81歳の現在に至るまで、柚木さんの片腕として制作に携わっているのです。その存在をこの本で初めて知りました!

柚木さんの色々な側面が垣間見れます。目で楽しむ一冊です♪

 

魔法のことば/柚木沙弥郎絵・金関寿夫訳

こちらは1994 年、柚木さんが72歳のときに初めて手掛けた絵本です。最寄りの図書館で見つけてからずっと欲しくて探していました。古本もあまり出回っていなかったのですが…なんとなんと、2021年12月23日に福音館書店から限定復刊していました! もちろん見つけてすぐに購入しました。

エスキモーの人々に伝わる一篇の詩を元に描かれた絵本で、柚木さんのカラフルな色彩と生き物のフォルムが面白いので赤ちゃんから大人まで楽しめそうです。何度も声に出して読みたくなる素敵な詩に柚木さんの独特な絵が相まって壮大な世界観を味わえます。

図書館で借りた時は透明なフィルムでカバーされていたのでよく分かりませんでしたが、とってもすべすべしていてマットな質感の表紙です。

ちなみに図書館で貸し出していた本は、2000年に福音館書店から出版された復刊版でした。福音館書店のホームページには、“読者からのリクエストに応え”復刻したと書かれていたので、こうして私の手元に絵本が届いたのは、復刻を待望してくれたファンの皆様のお陰だと思っています。柚木沙弥郎ファンと出版関係者の方々に感謝します^^

 

さて、今回は生誕100年を記念して、柚木沙弥郎の本をご紹介しました。絵本は購入しましたが、他の二冊は友人が貸してくれました。このタイミングで偶然素敵な本に出合えて、柚木さんの事を更に知る事が出来て良かったです。来年はぜひ日本民藝館の展示を見に行きたいと思います♪

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