民藝 窯元・工房

目からウロコ! 伝統的な津軽塗 3つの技法

これまで津軽塗について全くの無知だった私…
先日You Tubeを見ていたら興味深い動画を発見しました。

青森県弘前市にある松山漆工房の松山継道さんが、津軽塗を実演している
「ニッポン手仕事図鑑」というチャンネルの動画でした。

見てみると、その技法にビックリ!
とても面白い作り方だったのでメモしておきます。

 

3つの伝統的な津軽塗の技法をご紹介

ななこ塗

この技法にいちばんオドロキました。

step
1
菜種蒔き


まず、菜種(焦げ茶色の直径3~5㎜ほどのアブラナの丸い種子)をたくさん使うのです。
どうやって使うかと言うと、お椀の外側に漆(弁柄っぽい赤い色)を少し厚めに塗り、
そこに菜種を蒔くのです!
塗った漆が見えなくなるほど、お椀の外側にびっしりへばりついた菜種たち。
そのビジュアルにゾワゾワします笑
それを一度乾かします。

step
2
菜種はがし


漆が完全に乾き切らないうちに、ヘラで菜種を取り除きます。
お椀の表面には、クレーター状の丸い凸凹した跡がたくさん出来ます。

step
3
漆を塗る


表面をヤスリで少し水砥ぎします。
その上から更に別の色の漆(黒漆)を塗ります。

step
4
水砥ぎ


乾いたらヤスリで水砥ぎします。
すると、クレーター状に盛り上がった部分の黒漆が削れ、
下地の赤い漆が浮かび上がってくるのです!

“ななこ”とは魚の卵という意味です。
丸い模様が並んでいる様子はまるで魚の卵のようです。


出典:青森県漆器協同組合連合会ホームページより

 

紋紗(もんしゃ)塗

“紗”は津軽地方で籾殻の意味。
この技法には籾殻くん炭を使うのです。

step
1
下地の漆塗り


まず、取り出したのが豆腐⁉
黒漆に少しずつ混ぜていくと、こっくりとしたパテ状になります。
それを油紙の様な硬めの紙を丸めた物で、
お椀の外側にグリグリ回しながら塗って行きます。
そうする事で渦を巻いたような模様が出来ます。

step
2
籾殻くん炭蒔き


その上に、くん炭の粉末を蒔きます。
漆が見えなくなるまで、くん炭にまぶされたお椀を一度乾かします。

step
3
水砥ぎ


乾いたら、ヤスリで水砥ぎします。
お椀を洗った後布巾で拭くときに引っかからない様に、凸凹を削っていきます。
すると炭のマットでザラッとした質感に、下地の模様が浮き出てきます。

出典:青森県漆器協同組合連合会ホームページより

 

唐塗

津軽塗の中でいちばんオーソドックスな技法。
松山さんは、「唐塗は作り手の性格が出る技法。
いちばん面白くていちばん好き」と言っていました。

step
1
下地の漆作り


黒漆に卵白を混ぜます(←もうあまり驚きません)。
すると粘り気が出てきます。

step
2
木ベラで模様付け


ココで特殊な木ベラの登場です。
ハエたたきの様な形状ですが先端は平たく、蜂の巣の様に丸い穴がたくさん空いています。
①の漆を木ベラに付け、お椀の外側にペタンペタンとスタンプを押す様に模様を付けていきます。
一度乾かします。

step
3
上塗り・仕上げ


乾いたら、その上に黄色い漆(下塗りと違う色の漆)を塗り重ねます。
すると、凹凸の模様が浮かび上がります。
そのまま削らない場合と、ヤスリで水研ぎして下地の色を出す場合があります。
違った色の漆を何重にも重ねる事で砥いだ時に様々な色味を出す事が出来ます。

出典:青森県漆器協同組合連合会ホームページより

 

この様な技法を、津軽塗では江戸時代頃から受け継いできました。
菜種や豆腐、籾殻、卵白など身近な物を使って模様を出す工夫がされていて、
昔の人の発明にシビレました!

 

インタビューの中で印象的だった松山さんのお話

津軽塗の背景と現状

昔は職人ひとりで作っていたものが、昭和50年頃には分業制に変わり量産する様になった。
何百人も雇って会社として大量生産したが、価格との折り合いが付かず結局ダメになってしまった。
そこで働いてた人達が職人として続けたくても分業制だったから、いちから仕事ができない。
新しくデザインされたものを作っていたから、それまで伝承されていた塗も伝承されなくなった。

生活の中の漆器

今の職人は売るのも自分でやる。
自分の得意な事を見せられないとダメ。
美術工芸品になってもいけない。
食卓で日常的に使えるものじゃないと残っていかない。
今の人たちに「漆を使って、心地良いんだよ」と、伝えて行かないといけない。

仕事について

真面目に仕事すれば大丈夫。
自分の得意な分野で芯を持って仕事すれば、なんとかなる。
100点を目指しているけど100点は無理。
失敗の積み重ね。

 

 

以上、津軽塗の技法3つをまとめてみました。

以前青森に行ったときは八戸付近の観光をしました。
種差海岸や奥入瀬渓流でサイクリングしたり、是川縄文館で土偶や土器、縄文時代の漆製品を見たり、十和田市現代美術館で草間彌生などの現代アートを見たり、隈研吾や安藤忠雄の建築も見に行きました。

それでもまだまだ見るものがあるとは、青森は広くてとっても魅力的です!

次回青森へ行く際は弘前で津軽塗を見て、三内丸山遺跡を見学し、青森県立美術館や棟方志功記念館なんかにも行ってみたいな〜と、旅の妄想が膨らみます♪

話は逸れましたが、この動画を見て松山漆工房のお椀を使ってみたくなりました。実際に触ってお雑煮とか食べて「心地良いな」と実感したい津軽伝統の漆器です。

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